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あまり時間がないのでここだけ更新しています。 その日書いた分をまとまりなく記事にしています。 ある程度まとまったらHTMLにする予定です。
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「覚えてる」
 あれがどれでも、おれは隅々まで覚えている。その後のことも、これからのことも、全部覚えている。おれは多分そういう役割が適任だ。
「あの日から」
 あーちゃんは可愛らしく小首を傾げ、上目遣いにおれを見上げた。やっぱり口元だけ笑っている。何も感じていないみたいな顔。かわいそうに。
「全部壊れたんです。壊れた瞬間、覚えてますか」
「壊れた瞬間」
 繰り返して、答えられずに口ごもった。
 壊れた瞬間。瞬間。瞬間?
 そんなもの、あっただろうか?
 いや、何度もあった。何度も繰り返し壊れた。
 今こうしてあーちゃんと向き合っていること。彼女が死体遺棄の現行犯だと知ったこと。彼女と再開したこと。制服を着て高校に行ってみたこと。この町に戻ってきたこと。退院したこと。父親と話し合ったこと。病院で治療を受けていたこと。警察と話をしたこと。入院したこと。沢山の大人に保護されたこと。警察に駆け込んだこと。一人で逃げ出したこと。犯人たちが殺されたこと。リビングに集められたこと。それから――それから以前の色々なこと。
 何もかもにぶち壊されて、また組み上げてきた。そういう風なものだと思っている。
 彼女は、おれとは考え方が違うらしい。
 条件も違う。多分。
 赤の他人なんだということぐらい、理解している。
 おれは彼女の次の言葉を待った。彼女もおれの言葉を待っていたけど、でもおれは答えられない。わからないから。
 じれったそうにあーちゃんは瞬きをした。
 ぎゅっと目を瞑って、唇もぎゅっと噛んで笑えなくなって、それから低い声で話し出した。
「ママが殺された時に、私は誓ったんです。復讐してやります。犯人に。だから」
「それで、あれを……」
 そして彼女はぎこちなく満面の笑みを作った。
「へーくんは、協力してくれるんですよね? じゃないとタダ飯食いですよ?」
 そういえば、とさっきの肉のことを思い出した。今日の夕飯……だめだ、肉、苦手だな……。


メタ的なあれってどのくらいやったら嫌われてしまうんでしょうか

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