あまり時間がないのでここだけ更新しています。
その日書いた分をまとまりなく記事にしています。
ある程度まとまったらHTMLにする予定です。
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「だって推理シーンは手順を追って、親切丁寧に読者への解説をしないといけないだろ?」
「そろそろ家に帰りたくなってきた」
おれがそう言うと、勘右衛門は深刻そうにニヤリと笑った。
「いいのか? この暗号の内容が真実だとしたら」
重々しく言った。古い洋物映画の探偵のように。
「手短に」
そしておれは出鼻を挫く。このやりとりは楽しい。
「はあ」ため息。「まあ、判ってる話聞くのも面倒だよな。でも答え合わせぐらいさせてよ。この暗号はつまり――縦読みだろ?」
「縦読み?」
「あ、そういうのは知らないのね」
勘右衛門が一人で納得したように頷いた。
「いや、正確に言うと縦読みでもないんだけど。つまりさ、絵文字の読みの頭文字を、繋げて読む。まず最初の『月』『ケーキ』『手紙』」
「つ、け、て」
「で、次が『宝石』。多分これ、『ルビー』のつもりだと思う。赤いし」
「つけて、る」
「『蛙』『笑顔』『リボン』『耳』『チケット』『ニヤリ』『木』『お酒』『月』『ケーキ』『ロケット』。で――」
「ちょっと待て、一気に言うなよ」
「か、え、る、え、が、お、り」
「そうじゃない」
おれは勘右衛門の手から携帯を奪い返した。ちゃんと全部を記憶してたわけじゃない。
びっしり並ぶ意味のない受信メールをスクロール。時系列を遡って暗号を読み返す。件名の最後に絵文字が入っているもの、入っていないもの。連続して、あるいは数回の意味の全くないメールを挟んで、記号は挿入されている。記号アリのものだけを視覚、知覚、記憶。
「どうしてお前はその暗号に気がついたのか? そこから考えた方がいいかもしれない」
つ、き。
け、ーき。
て、がみ。
る、びー。
「ま、普通に絵文字の使い方がちょっと変だってのは気づくだろ」
か、える。
え、がお。
り、ぼん。
み、み。
ち、けっと。
に、やり。
「件名だけ流し見してても、内容と関係無いのに繰り返して使われてる絵文字が目に付くわけだ」
き。
お、さけ。
つ、き。
け、ーき。
よ、る。
「もしや暗号か、とね。いくつもの難事件を解決してきた探偵なら、勘が鋭く働くところだろう。名探偵ならば、もしやと思う。ここが見せ所なんだ。半信半疑でもとりあえず考える。暗号の定石として、まず最初に解読方法を相手に提示しておかなければいけないって話はしたと思うけど」
「付けてる。帰り道、気をつけよ」
つまり、斉藤タカ丸はこの暗号を貫き通すために、意味不明のメールを大量に送ってきていたというお話。依存症に陥っているとか、そういうわけじゃない。
おれが前に話したメールとかは証拠が残るから、っていうのを気にしているんだろう。
が、これに意味があるとは思えない。
「でもお前は探偵じゃない」
「は?」
「聞いてた?」
「……聞いてなかった」
上機嫌で独り言を言っているのは見えていたけど。
肩をすくめてみせた。特に悪いとは思っていない。
「はあ」再度、ため息。
「おれはさあ、期待してるんだよ君に。最初っから」
「最初って?」
「転校初日。初対面から、顔を見てすぐ直感があったね。言っただろ? お前からは事件の香りがする」
あれ 今気づいたんですけど
ツイッターをフォローして頂いている方増えてますか?(全く使いこなせていない)
ここで言うのが正しいかどうかわかりませんが、ありがとうございます
誰かに読んでいただけていると思うと励みになります
「そろそろ家に帰りたくなってきた」
おれがそう言うと、勘右衛門は深刻そうにニヤリと笑った。
「いいのか? この暗号の内容が真実だとしたら」
重々しく言った。古い洋物映画の探偵のように。
「手短に」
そしておれは出鼻を挫く。このやりとりは楽しい。
「はあ」ため息。「まあ、判ってる話聞くのも面倒だよな。でも答え合わせぐらいさせてよ。この暗号はつまり――縦読みだろ?」
「縦読み?」
「あ、そういうのは知らないのね」
勘右衛門が一人で納得したように頷いた。
「いや、正確に言うと縦読みでもないんだけど。つまりさ、絵文字の読みの頭文字を、繋げて読む。まず最初の『月』『ケーキ』『手紙』」
「つ、け、て」
「で、次が『宝石』。多分これ、『ルビー』のつもりだと思う。赤いし」
「つけて、る」
「『蛙』『笑顔』『リボン』『耳』『チケット』『ニヤリ』『木』『お酒』『月』『ケーキ』『ロケット』。で――」
「ちょっと待て、一気に言うなよ」
「か、え、る、え、が、お、り」
「そうじゃない」
おれは勘右衛門の手から携帯を奪い返した。ちゃんと全部を記憶してたわけじゃない。
びっしり並ぶ意味のない受信メールをスクロール。時系列を遡って暗号を読み返す。件名の最後に絵文字が入っているもの、入っていないもの。連続して、あるいは数回の意味の全くないメールを挟んで、記号は挿入されている。記号アリのものだけを視覚、知覚、記憶。
「どうしてお前はその暗号に気がついたのか? そこから考えた方がいいかもしれない」
つ、き。
け、ーき。
て、がみ。
る、びー。
「ま、普通に絵文字の使い方がちょっと変だってのは気づくだろ」
か、える。
え、がお。
り、ぼん。
み、み。
ち、けっと。
に、やり。
「件名だけ流し見してても、内容と関係無いのに繰り返して使われてる絵文字が目に付くわけだ」
き。
お、さけ。
つ、き。
け、ーき。
よ、る。
「もしや暗号か、とね。いくつもの難事件を解決してきた探偵なら、勘が鋭く働くところだろう。名探偵ならば、もしやと思う。ここが見せ所なんだ。半信半疑でもとりあえず考える。暗号の定石として、まず最初に解読方法を相手に提示しておかなければいけないって話はしたと思うけど」
「付けてる。帰り道、気をつけよ」
つまり、斉藤タカ丸はこの暗号を貫き通すために、意味不明のメールを大量に送ってきていたというお話。依存症に陥っているとか、そういうわけじゃない。
おれが前に話したメールとかは証拠が残るから、っていうのを気にしているんだろう。
が、これに意味があるとは思えない。
「でもお前は探偵じゃない」
「は?」
「聞いてた?」
「……聞いてなかった」
上機嫌で独り言を言っているのは見えていたけど。
肩をすくめてみせた。特に悪いとは思っていない。
「はあ」再度、ため息。
「おれはさあ、期待してるんだよ君に。最初っから」
「最初って?」
「転校初日。初対面から、顔を見てすぐ直感があったね。言っただろ? お前からは事件の香りがする」
あれ 今気づいたんですけど
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