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あまり時間がないのでここだけ更新しています。 その日書いた分をまとまりなく記事にしています。 ある程度まとまったらHTMLにする予定です。
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「父親が何か言っていたんですか」
「何かって」
「おれの前でとぼけたって意味無いでしょう。普通、捜索願を出されたからって警察が真面目に人探しをするわけじゃない。対象の普段の生活とか失踪前後の状況から判断して、犯罪に巻き込まれたとか、そういう疑いのある奴だけ。何を以ておれが異常な失踪だと判断されたんですか?」
 疑問詞を投げかけられた時、奴の眉間がぴくりと動いた。おれの発言の間中、こっちを凝視していた眼球が右側に泳いだ。
「そりゃ、不審に思うよな」
 独り言ち、視線をおれから逸らしたまま、机の上を右手の人差し指でトントンと叩いた。右利きらしい。
「コーヒーの方お待たせいたしました」
 黙り込んだテーブルに、急にウェイトレスが割り込んできた。注文を取りに来たのと別な女性だった。二つのコーヒーカップを並べながら、不思議そうにおれの顔をのぞき込んだ。目が合う。慌てて逸らされる。逃げるように席を離れる。
「そうだな」
 と、一人で納得したように、警官は頷いた。
「順を追って説明しようか。いや、まず最初に言っておくが、そっちの少年」
「尾浜勘右衛門です」
「お前の発言は不遜で不正解だ。おれは別にこいつを疑っているわけじゃない」
 これは嘘だろう、と推測した。
「別に……なんというか、その、別に久々知少年が家出したことと何かの事件を結びつけているわけではないんだ」
「もっと自然な取り繕い方はなかったんですか」
「いや、本当に。少なくともおれは。あー、いや、警察としては安易に容疑者を絞り込んだという事実はない」
 下手な嘘というのは、聞いている側をいたたまれない気分にさせるものだと判った。
 誰も事件がどうとかそんな話してない。
「面白いなあ」
 勘右衛門がおれの耳元で言った。結構なことだ。
「警察がおれを疑っても疑わなくても何を考えているのでもなんでも別に構いません。おれは父親についての話を聞きたい」
「一つだけ言わせてくれ。おれだけは本当に、お前を疑っていない」
 何についてのどのような容疑に関する話で、一体どうして初対面の赤の他人の男におれは庇われているのか、というのが致命的に抜けている会話なんだけど、前半は予想がつくのでどうでもいい。後半も赤の他人の個人的感情に基づいていることが予測されるのでどうでもいい。


別にダビデ像みたいながっちりした体型の久々知の二次創作イラストがあったっていいだろうに

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