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あまり時間がないのでここだけ更新しています。 その日書いた分をまとまりなく記事にしています。 ある程度まとまったらHTMLにする予定です。
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 彼女にメールを送った。
『会いたいな』
 と書いて、それから、メールに小さい絵を入力できるのにさっき気がついたので、一覧の中から赤いハート二つが飛んでいるやつを選んだ。これは絵文字とかいうやつらしくて、何種類もあっておもしろい。多分使い方は間違っていないと思うけど、他の人がどういう使い方をしているのか知りたい。だれかメール送ってきてくれないかな。ちょっと世間に疎くなっている間に色々なものが出来上がっている。
 それから一応、メールには死体の画像を添付しておいた。
 一分経たない内に返信が来た。
『授業が終わったら 焼却炉跡で』
 簡潔な内容。残念ながら絵文字はなかった。
 あーちゃんはちゃんとこの携帯のアドレスを『へーくん』で登録しているのだろうか、と急に心配になった。なんか文面が冷たい気がして。赤の他人に向かって言ってるみたいだ。
 アドレスとへーくんの関連性は紐付いてんのかな。目の前であーちゃんって呼びかけないとダメだったりするのかな。へーくん、ってものへの認識は。どうなんだろう。
 ていうか焼却炉跡ってどこだろう。授業が終わったら、ってあと五分ぐらいしかない。五分で見つかるかなあ。

 教室から跳ねるように飛び出してきた彼女と、廊下でぶつかりそうになった。
「あっ」
 同時に短い悲鳴を上げた。
 小柄な彼女が、廊下に倒れこむ。思わず手を引いて、抱きかかえた。
 軽いな、細いな、生温いな、壊れそうだ、壊してしまいそうだ、と幾つかの不安を抱いて、腕に寄りかかる彼女を抱き起こした。
「あーちゃん」と、取り敢えずお決まりの一言。
「大丈夫?」
「へーくん?」
 目を白黒させて、見上げてくる。
「約束は?」
「ごめん。こうした方が、早いかと思って」
 眉を顰めて、視線を逸らして、口をとがらせた。
「ぜんぜん言うこと聞いてくれない」
「人をなんだと思ってるんだ」
 おれがそう言うと、あーちゃんはあーちゃんは口の両端を持ち上げて、笑った。
「綾部、それ誰?」
 教室の窓から顔を出した女子が、あーちゃんにそう問いかけた。
「友達!」
 あーちゃんは笑ったまま振り返って、答える。
 何人かの女子がニヤニヤ笑いながらおれを眺めた。

「行きましょう」
 と、彼女が手を引いた先が、その焼却炉跡だった。焼却炉じゃない。焼却炉跡だ。前時代的ということで使用されていないらしい。赤いレンガ造りのアンティークなオブジェクト。

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