あまり時間がないのでここだけ更新しています。
その日書いた分をまとまりなく記事にしています。
ある程度まとまったらHTMLにする予定です。
×
[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
おれがそのずっと後に、自宅で握ったなんでもない包丁が、確かに同じ感覚だったのだ。殺せと言われて握ったあれと。これと。木の柄の。重たい薄い金属の。なるほどこれは殺せるな、と、人参だか豚肉だかなんだかを切りながら、これは使いようだな、と思った。
その時、さあ殺せ、と言われて手渡されたんだけど。
九歳になっていた。無知な頃だ。何も知らない頃の話だ。こんなのでいったい何ができるのかと、おれは懐疑的だった。
おれは犯人の顔を見上げた。
何もわからないと、言えなかった。言葉もなかった。
この時おれの目の前には、あーちゃんと、あーちゃんの家族が、いた。
そして、
「さあ殺せ」
と、言われた。
あーちゃんは母子家庭だった。母親は若かった。恐らく美人だったのだろうと思う。現在のあーちゃんの顔を見ていると、そう推測される。
でもその時は彼女の顔は幾度なる暴行の跡で丸く膨れ上がり、どこに口鼻目玉があるのかさえわからなかった。
彼女はほとんどなにも身に纏わない状態で両手両足を縛られ、床に転がされていた。
手足胴のありとあらゆる所が膨れて青く、腕足の細い部分はあらぬ方向に曲がっていた。と、後の新聞紙面で読んだ。
電灯がついていなかった。曇った昼間の光が、カーテン越しに弱々しく差し込んでいた。
彼女は芋虫のように体をくねらせ、低いうめき声を断続的にあげていた。
まず目にした時、これは人間なのか、とも、思った。
しかし犯人が人間に話しかける如く話しているので、ああ、人間か、と理解した。
また犯人は彼女のことを激しい口調で罵っていたのだが、その中に雌豚という言葉があったので、女性だろうと推測ができた。雌、が女の意味だとは知っていた。以前、あーちゃんと野良犬の話をした。
おれは彼女が暴行されている現場を目撃していない。
犯人がやったのだろう。
結局なんの証拠ものこってないんだから。
いつもの狭い部屋から急に引っ張りだされ、地上へ向かう階段を犯人に手を引かれながら登った。数十秒の間。
考えた。これはチャンスだと。何度目かの。
薄暗いリビングに連れ出された。いつものように。
そこにあーちゃんと、その、あーちゃんの家族が、既に準備されていた。
あーちゃんの横に、重たそうな大きなフライパンが落ちていた。何か固いものを何度も殴打したようで、いくらかひしゃげていた。血がところどころこびりついていた。この凶器は、事件が明るみに出た後も、ついぞ発見されることはなかった。
そのあーちゃん自身はフローリングの床にへたりこんで、すぐ目の前の瀕死の母親ではなく、壁を呆然と見つめていた。壁には犯人と犯人の家族の写真が貼ってあった。この犯人は天涯孤独で独身である。
そして犯人はあーちゃんの母親を罵倒しながら二、三回、足蹴にし、台所へ駆け込んで、包丁を持ってきた。その数秒間、おれはあーちゃんを見ていた。犯人はおれから手を離したにもかかわらず、逃げなかった。
まだ、と思った。
すぐに逃げ切れると思わなかった。
犯人は、持ってきた包丁を、おれの手に握らせた。
「さあ殺せ」
と、低い声で言った。あーちゃんの母親のうめき声と同じぐらいの音程だった。
おれは犯人の顔を見上げた。
どんな顔だったのか、思い出せない。現在のおれにとって、こいつほどどうでもいい人間はいない。もう死んでいる。
これ明らかに文章の構成おかしいですよね?
同じ事三回書いてる。
でもなんかいいテンポになってるので書きなおしきれなかった。
こんな短い範囲で同じ事三回書いてもいいんかな……どうなんだ……わからん。
ほんとにわからん。
誰か見てたら意見ください。
その時、さあ殺せ、と言われて手渡されたんだけど。
九歳になっていた。無知な頃だ。何も知らない頃の話だ。こんなのでいったい何ができるのかと、おれは懐疑的だった。
おれは犯人の顔を見上げた。
何もわからないと、言えなかった。言葉もなかった。
この時おれの目の前には、あーちゃんと、あーちゃんの家族が、いた。
そして、
「さあ殺せ」
と、言われた。
あーちゃんは母子家庭だった。母親は若かった。恐らく美人だったのだろうと思う。現在のあーちゃんの顔を見ていると、そう推測される。
でもその時は彼女の顔は幾度なる暴行の跡で丸く膨れ上がり、どこに口鼻目玉があるのかさえわからなかった。
彼女はほとんどなにも身に纏わない状態で両手両足を縛られ、床に転がされていた。
手足胴のありとあらゆる所が膨れて青く、腕足の細い部分はあらぬ方向に曲がっていた。と、後の新聞紙面で読んだ。
電灯がついていなかった。曇った昼間の光が、カーテン越しに弱々しく差し込んでいた。
彼女は芋虫のように体をくねらせ、低いうめき声を断続的にあげていた。
まず目にした時、これは人間なのか、とも、思った。
しかし犯人が人間に話しかける如く話しているので、ああ、人間か、と理解した。
また犯人は彼女のことを激しい口調で罵っていたのだが、その中に雌豚という言葉があったので、女性だろうと推測ができた。雌、が女の意味だとは知っていた。以前、あーちゃんと野良犬の話をした。
おれは彼女が暴行されている現場を目撃していない。
犯人がやったのだろう。
結局なんの証拠ものこってないんだから。
いつもの狭い部屋から急に引っ張りだされ、地上へ向かう階段を犯人に手を引かれながら登った。数十秒の間。
考えた。これはチャンスだと。何度目かの。
薄暗いリビングに連れ出された。いつものように。
そこにあーちゃんと、その、あーちゃんの家族が、既に準備されていた。
あーちゃんの横に、重たそうな大きなフライパンが落ちていた。何か固いものを何度も殴打したようで、いくらかひしゃげていた。血がところどころこびりついていた。この凶器は、事件が明るみに出た後も、ついぞ発見されることはなかった。
そのあーちゃん自身はフローリングの床にへたりこんで、すぐ目の前の瀕死の母親ではなく、壁を呆然と見つめていた。壁には犯人と犯人の家族の写真が貼ってあった。この犯人は天涯孤独で独身である。
そして犯人はあーちゃんの母親を罵倒しながら二、三回、足蹴にし、台所へ駆け込んで、包丁を持ってきた。その数秒間、おれはあーちゃんを見ていた。犯人はおれから手を離したにもかかわらず、逃げなかった。
まだ、と思った。
すぐに逃げ切れると思わなかった。
犯人は、持ってきた包丁を、おれの手に握らせた。
「さあ殺せ」
と、低い声で言った。あーちゃんの母親のうめき声と同じぐらいの音程だった。
おれは犯人の顔を見上げた。
どんな顔だったのか、思い出せない。現在のおれにとって、こいつほどどうでもいい人間はいない。もう死んでいる。
これ明らかに文章の構成おかしいですよね?
同じ事三回書いてる。
でもなんかいいテンポになってるので書きなおしきれなかった。
こんな短い範囲で同じ事三回書いてもいいんかな……どうなんだ……わからん。
ほんとにわからん。
誰か見てたら意見ください。
PR
「覚えてる」
あれがどれでも、おれは隅々まで覚えている。その後のことも、これからのことも、全部覚えている。おれは多分そういう役割が適任だ。
「あの日から」
あーちゃんは可愛らしく小首を傾げ、上目遣いにおれを見上げた。やっぱり口元だけ笑っている。何も感じていないみたいな顔。かわいそうに。
「全部壊れたんです。壊れた瞬間、覚えてますか」
「壊れた瞬間」
繰り返して、答えられずに口ごもった。
壊れた瞬間。瞬間。瞬間?
そんなもの、あっただろうか?
いや、何度もあった。何度も繰り返し壊れた。
今こうしてあーちゃんと向き合っていること。彼女が死体遺棄の現行犯だと知ったこと。彼女と再開したこと。制服を着て高校に行ってみたこと。この町に戻ってきたこと。退院したこと。父親と話し合ったこと。病院で治療を受けていたこと。警察と話をしたこと。入院したこと。沢山の大人に保護されたこと。警察に駆け込んだこと。一人で逃げ出したこと。犯人たちが殺されたこと。リビングに集められたこと。それから――それから以前の色々なこと。
何もかもにぶち壊されて、また組み上げてきた。そういう風なものだと思っている。
彼女は、おれとは考え方が違うらしい。
条件も違う。多分。
赤の他人なんだということぐらい、理解している。
おれは彼女の次の言葉を待った。彼女もおれの言葉を待っていたけど、でもおれは答えられない。わからないから。
じれったそうにあーちゃんは瞬きをした。
ぎゅっと目を瞑って、唇もぎゅっと噛んで笑えなくなって、それから低い声で話し出した。
「ママが殺された時に、私は誓ったんです。復讐してやります。犯人に。だから」
「それで、あれを……」
そして彼女はぎこちなく満面の笑みを作った。
「へーくんは、協力してくれるんですよね? じゃないとタダ飯食いですよ?」
そういえば、とさっきの肉のことを思い出した。今日の夕飯……だめだ、肉、苦手だな……。
メタ的なあれってどのくらいやったら嫌われてしまうんでしょうか
あれがどれでも、おれは隅々まで覚えている。その後のことも、これからのことも、全部覚えている。おれは多分そういう役割が適任だ。
「あの日から」
あーちゃんは可愛らしく小首を傾げ、上目遣いにおれを見上げた。やっぱり口元だけ笑っている。何も感じていないみたいな顔。かわいそうに。
「全部壊れたんです。壊れた瞬間、覚えてますか」
「壊れた瞬間」
繰り返して、答えられずに口ごもった。
壊れた瞬間。瞬間。瞬間?
そんなもの、あっただろうか?
いや、何度もあった。何度も繰り返し壊れた。
今こうしてあーちゃんと向き合っていること。彼女が死体遺棄の現行犯だと知ったこと。彼女と再開したこと。制服を着て高校に行ってみたこと。この町に戻ってきたこと。退院したこと。父親と話し合ったこと。病院で治療を受けていたこと。警察と話をしたこと。入院したこと。沢山の大人に保護されたこと。警察に駆け込んだこと。一人で逃げ出したこと。犯人たちが殺されたこと。リビングに集められたこと。それから――それから以前の色々なこと。
何もかもにぶち壊されて、また組み上げてきた。そういう風なものだと思っている。
彼女は、おれとは考え方が違うらしい。
条件も違う。多分。
赤の他人なんだということぐらい、理解している。
おれは彼女の次の言葉を待った。彼女もおれの言葉を待っていたけど、でもおれは答えられない。わからないから。
じれったそうにあーちゃんは瞬きをした。
ぎゅっと目を瞑って、唇もぎゅっと噛んで笑えなくなって、それから低い声で話し出した。
「ママが殺された時に、私は誓ったんです。復讐してやります。犯人に。だから」
「それで、あれを……」
そして彼女はぎこちなく満面の笑みを作った。
「へーくんは、協力してくれるんですよね? じゃないとタダ飯食いですよ?」
そういえば、とさっきの肉のことを思い出した。今日の夕飯……だめだ、肉、苦手だな……。
メタ的なあれってどのくらいやったら嫌われてしまうんでしょうか
カレンダー
10 | 2024/11 | 12 |
S | M | T | W | T | F | S |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 2 | |||||
3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 |
10 | 11 | 12 | 13 | 14 | 15 | 16 |
17 | 18 | 19 | 20 | 21 | 22 | 23 |
24 | 25 | 26 | 27 | 28 | 29 | 30 |
フリーエリア
最新記事
(05/25)
(05/22)
(05/20)
(05/19)
(05/12)
ブログ内検索