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 映像として……感覚として……忘れられない光景だ。そもそも、おれは結構な記憶力の持ち主で、あまり物を忘れるということをしない。それでも記憶なんてものは、時間の経過で変化していくものなんだから、不安定なものだ。
 それに、その時の主観的記憶と客観的記録が脳内に同居している。

 被害者児童らは、犯人の遺体とともに犯人宅で発見された。現場では被害者女児の母親と見られる女性の遺体も発見された。現場では一連の犯行の凶器と見られる家庭用の出刃包丁も発見された。警察への通報を行ったのは被害者男児だった。事件発覚当初は現場に残された物的証拠から、殺害の容疑者は被害者男児のみに絞られていたが、後に容疑者本人、また同時に保護された別な被害者からの証言により、遺体で発見された女性らが激しい口論の末お互い刺し違える形で死亡していたことが明らかになった。また、一方の女性は発見された児童らを拉致監禁の上、長期間にわたって虐待していたことも明らかになった。云々。

 事件後読み漁った新聞記事の内容の方が、或いは実体験の記憶よりも仔細かもしれない。何しろ現実はたった一つたった一瞬が隙間なく並べられているだけだ。
「今でも、結局、不可解な点が多数残ったままになっている。犯人は死んだ、それで、それ以上の追求は不可能ということになったが……。そのせいか、世間では当初の見解通り、お前が真犯人ではないかと、今でも噂されている」
 男がゆっくりと言葉を区切る。おれの出方を探っている。
 おれは何も言わなかった。何もしなかった。じっと男の眉間の間中から視線を逸らさずにいた。
 と、しながらも、頭の中で大きく頷いた。
 不可解で当然だ。嘘だから。
 あーちゃんの母親が犯人と刺し違えたというのは、当時のおれが警察で苦し紛れにでっち上げただけの、嘘。

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