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あまり時間がないのでここだけ更新しています。 その日書いた分をまとまりなく記事にしています。 ある程度まとまったらHTMLにする予定です。
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「まだ、新しい死体は出てませんよね?」
「そんなことはわかっている! 本当に……あいつが言ってた通り、人を食ったようなやつだ」
「人を殺したことはありますけど、食べちゃいないですよ」
「知っている! おれはお前の戯言を聞きに来たんじゃない」
 知っているのか。嘘なのに。
「で、おれは今度は一体どんな犯罪を犯したんですか?」
 男は肩を落として大きくため息を吐き、しょうがないやつだ、聞こえるようにぼやいた。
「捜索願が出てるんだよ、家出少年」
 等と、信じられないようなことを言った。

 親の話。
 子供の頃、罪も無い少年少女の頭を金属バッドで殴打して誘拐監禁虐待のワンセットが趣味の犯人に監禁されていた頃。おれの父親は、恐らく何も知らずにのうのうと生きていた。
 やがて逃げ出してきた自分の子供を見て、奴は大いに困惑した。非常に迷惑そうだった。嫌悪感すらあった。過去のおれの目にはそう映ったし、今でもその印象は間違いではないと確信している。
 母親は奴の元からとっくの昔に失踪していて、女の行方も、生死も、子供のこともだいたい忘れ去っていたから、と当時の状況から推測される。
 それでも奴は、この初対面の糞ガキがどうやら実の子供らしいとあらゆる証拠を持って特定されてしまった手前、引き取って養育せざるを得ない。奴は両親——つまりおれの祖父母との縁はとっくに切れてしまっているというか既に死んでいるとかで、いよいよもって迷惑千番のようだった。
 日常的に、奴はおれの事を「使えない奴」と表現した。その通りだろう。おれは奴に使われる気が一切起きなかった。血の繋がりを持ちだして奴隷になれと言われても、何の説得力もない。
 別に奴はおれに奴隷になって欲しかったわけではないようだが、とにかく、天涯孤独の二十代男性の家に面識のない子供が世話になるというのは、何事もスムーズには行かなかった。
 だからまあ、おれは一つ親切心を出して、先月辺りから家出してみているっていう話だ。
 以上は不完全な嘘だけど。
 仮におれの証言を信じるとして——すると矛盾が生じる。奴がおれを探す理由。
 いなくなって、喜んでいるのが筋だろう。

 その警察官は食満留三郎と名乗った。私服捜査中だろうか。校門前で気まずい空気を創りだしたそいつは、まばらに通り過ぎる学生たちの目を気にして、場所を移そうと提案した。

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「警察? 何の用ですか」
 冷静ぶってみる。いや、もちろんぶらなくても冷静なんですけども。
「とぼけるなよ。心当たりはあるんだろう?」
「現行犯でもないし、逮捕状もない」
 今この瞬間の身の潔白なら自信がある。
 あ、そうでもない。携帯の削除済みデータがあった。人間の丸焼き画像。アレが来た時点で水没でもさせて、新しい携帯を買えばよかった。
 そんな風に公開するのは実際に逮捕されてしまってからでも別に遅くない。
 突き出された警察手帳を眺めながら、一瞬の間に色々と考え込んだ。
 どうも、この警察という団体が苦手だ。嫌いでもないし、彼らがなければ今のおれは生きていないわけだし、つまりあらゆる意味で恩人らの集団なわけなんだけど。
 引け目を感じる。負い目じゃない。引け目だ。
「馬鹿だな」
 男は笑った。慈愛を含んだ苦笑いだった。それで急に大人びた。元々、どう見ても大人だが。
「お前はな、現行犯だ」
「は?」
 その苦笑いで思い出した。こいつとは、数日前の深夜に会った。早朝と言うべき時間か? 事実上犯罪幇助を行っていたにも関わらず、善良な第一発見者として事情調子を受けた時だ。深夜の住宅街側の森林における、あーちゃん被告による死体遺棄事件について。
 記憶の通り、つり目で顎の細い、精悍だか喧嘩っ早そうな顔立ち。苦虫を噛み潰したような顔で、壁を背に仁王立ちしていた。一言も発さなかった。ほかの刑事たちよりも若いなと思った覚えがある。それだけ。
「何やったんだよ」
 勘右衛門が、予想通りの浮ついた声で話に割り込んで来る。
 おれは思わず、といった風に、自分の両手を開いたり閉じたりしながら眺めた。返り血でも付いてんじゃないかっていう、そんな感じで。
 もちろん付いていない。

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十、熱血新米刑事のストーキング講座
 不正解だ。しかし惜しい所。赤ペンで三角をつけて、お情けで二点ぐらい頂いたっていいだろう。一問十五点の応用問題だったとして。
 校門前に厳つい男が仁王立ちに待っていた。こんな奴は知り合いにはいないが、まっすぐにおれを睨んでいるので、どうも間違いなくおれに用があるらしい。
 厳ついながらも見た目はごく普通の若者の範囲内に収まってはいる。細身のジーンズと灰のジャケット。何かスポーツでもやってらっしゃる? っていう体格。そういう若者は世においくらでも居る。そんなごく普通の若者に睨まれる覚えはないんだけど、ごく普通の若者に変装できる職業の方とならば、ちょっとした御縁がある。
 そういう職業の人間の目をしている。
 面倒な話。
 犯人とどちらが面倒か、と言われりゃ、ここは悩む所。
 勘右衛門がその男の方をチラチラと横目で見ながら、知らないふりで適当な世間話を敢行する。
 おれも全く気がつかないふりで、やり過ごしてやろうと思った。
 前を通り過ぎる。
 男はじっとおれを見ている割には声もかけない。
 ここで通りすぎて、今やり過ごして、後を付けられても嫌だな、と思った。何かあるなら、目撃者の多いところで。
 おれの顔に出ていたのか、この男も同じようなリスク管理を行ったのか定かではないが、ともかく男は、通り過ぎたおれの背後から肩をむんずと掴んできた。
 痛い。素人の力ではないのは馬鹿にでも判るわけで。結構な勢いで振りほどいて、背後へ振り向き様に思わず睨み返したのは、印象が悪い行為だっただろう。失敗した。
 そいつは胸元から素早く黒い手帳を取り出し、向き直ったおれの顔に殴りつけるように突き出した。それはまるで、とっておきの必殺技だと言いたげな感じ。ちょっと得意げに正義に燃えた顔つきだ。子供みたいに。
 吹き出したりしたら、更に印象は悪くなるだろう。堪えた。
「警察だ」
 と、怒ったように手短に、しかしやはり得意げな薄ら笑いを隠しきれずに、そいつは自己紹介をすませた。
 横で勘右衛門が口をあんぐり開けて動作停止している。どうせ直ぐに、面白くなってきたなんて言い出すに違いない。


今Twitterの画面をまじまじと見ていたら
全く記憶にないツイートをお気に入りに登録しとる!
なんでだ?
どうやって解除するんだっけ?
解除したほうがいいんかな?

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 おれは肩を竦めた。鼻で笑って見せた。
 やっぱり、嫌いじゃない。主に二つの理由による。
 一つは清廉潔白な被害者の身としては、このような野次馬による目撃証言というのは非常にありがたいものだということ。
 もう一つは、こいつはおれの経歴をダシにして会話をするのに、他の人間よりもほんの少し抵抗が少ないということだ。
 これまでの人生の半分以上が「腫れ物」なおれにとって、そこを触れずに当たり障りなく楽しい会話というのも労力を要する。気を使われないように気を使うのも面倒くさい。その点こいつは、そんな相手の顔色を読み間違えた気遣いよりも、好奇心の方を優先する。つまり、適当に対応しやすい。
 まあ、たまに正気に戻って気まずそうな顔をされることもあるけど。
「しかし兵助くんよ、どうすんだこれ。暗号。ストーキング宣言。闇討ち予告か? 夜道に気をつけろ的な」
「だからいつ帰ろうか、困ってたんだ」
 嘘だけど。
 だってこれ、奴がおれを付けてるって話じゃないだろう。誰かがお前を付回しているから気をつけろ、という警告だ。読み間違い。面白いので、訂正しないけど。
「兵助君、やたらとストーカーからモテるね。今季二人目?」
「変態との縁がやたらあるのはもう諦めてる」
 親からしてアレなんだし。間違いなく遺伝しているだろうというのが残念な現実。
「で、どうする? 一人で帰れる? 夜道が不安ならこの探偵役のおれがついて行ってやろうか」
「まだ夕方だけど」
 と、言いつつ、おれは勘右衛門と一緒に教室を出た。
 付けてる。帰り道、気をつけよ。
 心当たりとしては、あの変態野郎の犯人しか思い浮かばないんだけど。
 おれも気がつかなかったのに、タカ丸は何で気がついたんだろうか。気がついてしまって、無事なんだろうか。戦力として勘右衛門ってどうなんだろう。こいつ、おれに似てるから、大丈夫そうだと思うんだけど。
 まだ会いたくない。


長々と書き続けたシーンがやっと終わって
あれなんですけど
このシーン 全く必要ないシーン
暗号の解読とか完全に無意味
無意味なことをやっているタカ丸と、その性格を知ってるので深く考えなくとも暗号が解ける久々知と
勘右衛門が楽しそう
っていうだけのシーンであり
それが話しの中で必要かと言われたら
別に他のシーンでも性格は結構書いてるし
いらん……
いらんけど、ラノベなら日常シーンが必要じゃないかと思って書いた

ここまでで話の六分の四ぐらいまで進んだと思う
多分

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「だって推理シーンは手順を追って、親切丁寧に読者への解説をしないといけないだろ?」
「そろそろ家に帰りたくなってきた」
 おれがそう言うと、勘右衛門は深刻そうにニヤリと笑った。
「いいのか? この暗号の内容が真実だとしたら」
 重々しく言った。古い洋物映画の探偵のように。
「手短に」
 そしておれは出鼻を挫く。このやりとりは楽しい。
「はあ」ため息。「まあ、判ってる話聞くのも面倒だよな。でも答え合わせぐらいさせてよ。この暗号はつまり――縦読みだろ?」
「縦読み?」
「あ、そういうのは知らないのね」
 勘右衛門が一人で納得したように頷いた。
「いや、正確に言うと縦読みでもないんだけど。つまりさ、絵文字の読みの頭文字を、繋げて読む。まず最初の『月』『ケーキ』『手紙』」
「つ、け、て」
「で、次が『宝石』。多分これ、『ルビー』のつもりだと思う。赤いし」
「つけて、る」
「『蛙』『笑顔』『リボン』『耳』『チケット』『ニヤリ』『木』『お酒』『月』『ケーキ』『ロケット』。で――」
「ちょっと待て、一気に言うなよ」
「か、え、る、え、が、お、り」
「そうじゃない」
 おれは勘右衛門の手から携帯を奪い返した。ちゃんと全部を記憶してたわけじゃない。
 びっしり並ぶ意味のない受信メールをスクロール。時系列を遡って暗号を読み返す。件名の最後に絵文字が入っているもの、入っていないもの。連続して、あるいは数回の意味の全くないメールを挟んで、記号は挿入されている。記号アリのものだけを視覚、知覚、記憶。
「どうしてお前はその暗号に気がついたのか? そこから考えた方がいいかもしれない」
 つ、き。
 け、ーき。
 て、がみ。
 る、びー。
「ま、普通に絵文字の使い方がちょっと変だってのは気づくだろ」
 か、える。
 え、がお。
 り、ぼん。
 み、み。
 ち、けっと。
 に、やり。
「件名だけ流し見してても、内容と関係無いのに繰り返して使われてる絵文字が目に付くわけだ」
 き。
 お、さけ。
 つ、き。
 け、ーき。
 よ、る。
「もしや暗号か、とね。いくつもの難事件を解決してきた探偵なら、勘が鋭く働くところだろう。名探偵ならば、もしやと思う。ここが見せ所なんだ。半信半疑でもとりあえず考える。暗号の定石として、まず最初に解読方法を相手に提示しておかなければいけないって話はしたと思うけど」
「付けてる。帰り道、気をつけよ」
 つまり、斉藤タカ丸はこの暗号を貫き通すために、意味不明のメールを大量に送ってきていたというお話。依存症に陥っているとか、そういうわけじゃない。
 おれが前に話したメールとかは証拠が残るから、っていうのを気にしているんだろう。
 が、これに意味があるとは思えない。
「でもお前は探偵じゃない」
「は?」
「聞いてた?」
「……聞いてなかった」
 上機嫌で独り言を言っているのは見えていたけど。
 肩をすくめてみせた。特に悪いとは思っていない。
「はあ」再度、ため息。
「おれはさあ、期待してるんだよ君に。最初っから」
「最初って?」
「転校初日。初対面から、顔を見てすぐ直感があったね。言っただろ? お前からは事件の香りがする」


あれ 今気づいたんですけど
ツイッターをフォローして頂いている方増えてますか?(全く使いこなせていない)
ここで言うのが正しいかどうかわかりませんが、ありがとうございます
誰かに読んでいただけていると思うと励みになります

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