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あまり時間がないのでここだけ更新しています。 その日書いた分をまとまりなく記事にしています。 ある程度まとまったらHTMLにする予定です。
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 目を閉じたまま、口元だけ笑った。
 これは犯罪者の顔です。間違いありません彼女はまともではありません思考が破綻しています。赤子のように自らの反社会的行動に対する罪悪感が全くなく良心が異常に欠如しています。
 そして彼女は真実、慢性的な嘘つきです。
 嘘つきだ。多分、彼女は。
 きちがいのフリなんてそう難しくもない。知っている。
 彼女は嘘をついている。のだ、と、おれは推測している。
 何故? 知りたい。
「あのね、あーちゃん。そういうことじゃなくて」
「方法? 理由?」
「理由。運んだ理由」
「刑事さんみたいですね」
 薄ら笑ったまま、あーちゃんは目を開けた。
「逮捕されます?」
「それは、嫌だな……」
「へへ。ありがとうございます」
 あーちゃんは立ち上がり、すっかり冷えたフライパンを机の上から取り上げた。
 重たい鉄の塊。一度焼けた肉。冷えた油の匂い。
 左手でソファの端を握りつぶした。
「一から十までお話します? いいえ、嫌です」
「あーちゃん」
「へーくん、あの日のこと、覚えてますか」
 あの日。あれ、と指しただけで頭に浮かぶこと。おれにとって重要な日。たくさんある。生まれた日、小学校に入った日、友達がたくさんできた日、誘拐された日、始めて××の××をした日、大事な友だちができた日、××から外れた日、犯人が××された日。
 おれは全部覚えている。その時の当事者の誰よりも、はっきりと覚えているという自信がある。

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「あーちゃん」
 三度目。
「はい」
「目」
「はい」
 両目を閉じた。
 唇を少し開いている。
 開いた隙間から呼吸が出入りしている。
 おれは彼女は不幸だと思う。おれもそう。本当の所の気持ち、を疑っている。自分のことも、他人のことも。
 言語化不可能な脳の内側にさえ嘘があると思っている。だれの脳の内側も不正確だと思っている。
 おれはそう。だから、彼女もそう。
「あーちゃん、目を閉じたまま答えてね」
 彼女が目を閉じた時、彼女は彼女の前にいる男が誰だか正しく認識することはできない。誰もそう。箱の中の猫は青酸ガスで死んだかどうか観測されない。
 誰にも観測されない、おれは誰だ?
「あれは、どうしてやったの?」
「あれ」
「さっきニュースでやってたあれ」
「足」
「そう」
「スコップで上からずどんと」
「は?」
「柔らかくなってました。スコップの尖った部分でずどんとしたらちぎれました」
「あーちゃん、そうじゃなくて」
「あの大きさじゃないと運べないです」


ところで今日諸事情があって20分ほどサイドステップをしていたんですが
やっているそばから太ももの外側とケツが筋肉痛になりました
日常生活ではサイドステップに使う筋肉は使用しないようです

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 頭の中がごちゃごちゃしている。
 あーちゃんが、ゆっくり目を閉じた。
 まだフライパンから肉の焼ける音が聞こえる。弱く油の跳ねる音。換気扇が回っている。やかましい。騒音。ゴミでも引っかかっているのか。テレビはもう次のニュースに移っている。男性アナウンサーのテンションの高い声。子供らの歓声。場面が切り替わる。その都度、とりどりの色がソファに写り込んでいる。ソファの傍らに彼女の通学カバンが放置されている。クリーム色のセーラー服。詰まった肉。エプロンに油の染み。手に汗が滲む。皮のソファの上を濡らして滑る。滑る手がソファの上にめり込む。その一端を爪を立てて握りつぶしている。賑やかな……騒音が……眩しい……色が……吹き出した……汗が……目の前の……肌色の……生きた……臭いの……。
 おれは彼女は不幸だと思う。

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「あーちゃん」
「なんですか」
 彼女は、焼けたフライパンをテーブルの上に無造作に置いた。ガラス製のテーブルはカチンと耳を砕くような音を鳴らした。割れそうだ。
「あーちゃん」
 もう一度、彼女の不正確な名前を呼んだ。
 この名前を呼ぶたびに、あの頃の薄暗い思い出が記憶から溢れでてくるような気がする。
「へーくん」
 あーちゃんが、おれの不正確な名前を呼んだ。
 そしてこの名前を聞く度に、やっぱり同じように気分が悪くなる。世界の全てから千回ずつ打ちのめされたような感じの、あの気分だ。
 それでもまだおれはこの名前を捨て切れない。
 あーちゃんが、その大きな二つの目で、おれをのぞき込んでいる。
 おれは、その体液に濡れた目の、電灯の写り込んだ光をのぞき返した。
 お互いの正確でない名前を呼び合って、そして見つめ合った。まるで恋人同士のように。
 彼女の薄く開いた唇の隙間から生暖かい酸素が吐き出されている。
 頬を赤らめた。幸せそうだ。彼女は。本当かな。
 言葉が出ない。
 見つめ合っている。彼女の体温がそのまま伝わってくるような距離で、でも、おれの手は、決して彼女の触れないようにと緊張している。ソファの柔肌に両手をめり込ませて、ほんの数センチの最短距離を踏み切れない。
 本当に彼女は幸せなんだろうか?
 今、こうして見つめ合っていて。君は笑っているけど。

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 翌日の朝のニュースで、幼女の右足と毛髪が、その子が生前通っていた小学校の校庭で発見された、と報道があった。
 第一発見者は近所の高校生だった。深夜田畑の周辺をバイクで走り回り、近所の小中高の校庭にに集合するという、今ひとつ暴走族になりきれない若者たちの集団のようだ。
 真っ暗なだだ広い運動場の片隅に乗り込んで、ヘッドライトの先にそんなの転がってるのを発見したら、嫌だろうなと思う。とても嫌だろうなと思う。
「災難だね」
 テレビを見ながら、なんとなく呟いた。
「ん」
 後ろから、あーちゃんの声。換気扇の回る音。じゅうじゅうと油の煮える音。肉の焼ける匂い。吐きそう。
「どうかしました?」
「テレビ」
 ソファに全身を沈めてテレビを指さすと、台所からあーちゃんが出てきた。足音が聞こえる。
「面白いですか?」
 あーちゃんはおれの横に腰を下ろした。手に、フライパンとフライ返しを持ったままで。
 まだじゅうじゅう言っている。現在進行形で肉が焼けている。油がどろどろと溶け出している。獣臭い煙が上がっている。
 これはお店で買ってきたやつで、あれじゃない……よね?



どの順番で何を出すか迷っている

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