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「綾部」
 彼女は、その名を呼ばれて、あまりにも大きな衝撃を受けたように、また身体を震わせた。その弾みで、一つに結ばれていた髪がほどけた。走っていた間に緩んだのだろうか。風が吹き流れ、顔に、全身に、その豊かな髪が蛇のようにうねり、絡みつく。
 黒々とした髪の隙間から、彼女がおれを見上げていた。
「うわっ」
 水を注したのは勘右衛門の悲鳴だった。ドン、と地面に何か落ちた音が続いた。
 反射的に振り向く。
 まず路面に尻餅をついた勘右衛門が目に入った。
「兵助! あ、あれ!」
 大げさ以上に震える手が、指差した先。
 あーちゃんが抱えていた黒いボストンバッグ。勘右衛門がそうしたのか、その口が大きく開いている。
 その瞼のような隙間から、肌色の棒切れのようなものがはみ出ていた。折れた棒切れのような。まるで人間の腕のように、肘の所で折れ曲がった棒切れのようなものが。


この話に出てくる勘右衛門のノリの軽さはどうかと思うよ
なにがどうかというとこういう解釈でいいのだろうか……というどうかという
タカ丸とか鉢屋とかも軽薄なノリだと思うんですけど
その二人ともちょっと違うかんじ
喋り方とかもかなり軽々しいかんじにしてるんですけど
別にこの話でそういう役割だからそうなってるわけじゃないんです
はっきり言うといなくても話は進まないこともない
というか最初は伊作が探偵役だった

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