嘘つきへーくんと壊れた×× 2013.01.08 Tue 23:33 | 嘘つきへーくんと壊れた××

「ぐぇっ」
　と、不恰好な悲鳴を上げて、勘右衛門は背後にあったコンクリート製のドーム型の滑り台に背中をぶつけた。
　土の上にいくらかの鮮血が飛び散った。
　そんなことはどうでもいい。
　おれは勘右衛門から視線を外し、公園の中をぐるりと見回した。
　入ってきたのとは逆にある、鬱蒼と茂る木々に囲まれた出口に、人の影がある。
　あーちゃん。君は自分と無関係な場所で発生した物騒な物音に驚き、足を止めてこちらを見ていた。
　君を探す僕と、君は必然的に視線が交わった。
「大丈夫、早く——」
　そこまで言った時、後頭部に鈍い衝撃が走った。
「ふざけんなよ！」
　勘右衛門の怒号が続いた。
　これは正当な判断だ。予測できなかったおれが、にぶいだけ。
　あーちゃんが踵を返した。それだけを見てから、前に倒れ込みそうになる体を両足で踏ん張って、勘右衛門の方へと向き直った。


最近小酒井不木を読んでいます（青空文庫）
陰惨で冷酷な作風ってwikiに書いてあったんですけどそんなにグロくもない
まだそういうのに当たってないだけかもしれないですが
淡々としながら的確な感じ　なんというか　そういう感じですごく面白いです
でも「安死術」は心が痛くなりました
そういうニュースよく見る