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あまり時間がないのでここだけ更新しています。 その日書いた分をまとまりなく記事にしています。 ある程度まとまったらHTMLにする予定です。
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「きれいに」
 詰まった声で、男が繰り返した。いかにも苦しげに、全く他人事の痛ましさを眉間に寄せ集めて。
 しょうがないだろう、別に。おれは思った通りに喋るし、感情のままに顔に出る。今のおれの言葉と顔つきが全く冷淡で無表情に見えたとしても、それはそういうことなんだ。
「いつも勘違いされることなんですが、別に、おれはそんなに過去のことは気にしてないんです。まあ、でも、そう表現すると嘘になるんですけど」



この話で今のところ登場する予定の上級生は久々知、尾浜、綾部、タカ丸、伊作、食満のみです
あと兵太夫と、どこかで新野先生出るかも
数えてみると狭い世界の話ですねなんか
小平太とか出てきたら鬱クラッシャー

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「よかった」
 真実、そう思った。
 男は首をひねり、解せないと言いたげにおれを眺めていた。
「いいんですか、未成年なのに」
 と、勘右衛門。
「どこでどんな生活を送ろうが、個人の自由ではある。犯罪さえ起こさなければ」
「それにしちゃ物々しい」
 男は一度目を閉じた。俯き、目を開いた。それで、テーブルの上のホットコーヒーを思い出したらしい。生暖かい湯気が少し残ったカップの口を手で塞いだ。意味のない行為。
「個人的にずっと追っている事件がある」
 と、出し抜けに口を割った。
 なるほど、と思う。先が読めた。
「今回の件はある意味幸運だった。お前が遺体の第一発見者になったということが。いや、犠牲者が出ているのに不謹慎な話だとは判っているが……でも、こうでもないと終わった事件を突き回ることはできない」
「おれがあの殺人に関わっていると?」
「いや! いや、いや……どうだろうな。それはお前が一番知っていることじゃないか。第一、あれの真相は直に明らかになるだろう。現場には多くの証拠が残されていた。それはいいんだ。良くはないが、まだ風化していない情報が残っているからな。おれが知りたいのはその前だ。およそ十年前の……どうせ言わなくても判っているんだろう。無神経と思うか? しかしお前の、今後の人生のためにも、また他の被害者、犠牲者のためにも、絶対に解決しなければならないと思っている」
「あれはきれいに解決しましたよ。おれの目の前で」


これを書くために警察用語とか過去の事例とかを調べようとして色々ググると
しばしば恐ろしげな怪文書とか悲惨な事件の顛末とかが引っかかって
ヒエッとなる
深夜に嫌だよね

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「先週お会いした時に気がついたんですか?」
「先週? あ、ああ、そうだ」
「先週って何」
「おれが住宅街側の森の中で惨殺体の第一発見者になった時。こんな顔の刑事がいた」
「よく覚えてるな。話もしなかったのに」
「そうですね、物覚えがいいんですよ。人より脳の容量が余ってますから」
「ん……」苦い顔。ずっとそうだったっけ。「経緯は、そんな所だ。付け加えると、お前はその場で偽名を名乗ったな? おかげで発見が少し遅くなってしまった」
「なんて名乗ったの」
「尾浜勘右衛門」
「マジか!」
「嘘だよ」
 本当だろうか?
 どうもこの人も嘘つきだ。この席に座ってから何回嘘をついているのだろう。馬鹿正直でありながらも。
「で、どうするんですか」
「先に言った通り、警察としてはお前自身の意志に反して保護することはできない」
「居場所は父親に通達されますか?」
「いや……それも、お前に選択権がある」



長次は186cm94kgぐらいありそうなイメージ
近づくと壁か牛かって感じの

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「お前は親父と似ていないな」
 男はどこか悲しげに言った。おれにとっては喜ぶべき評価だ。
「いいか、お前には捜索願が出ているんだ。出したのはお前の実の父親だよ。失踪時の状況は父親が証言した。といっても、ある日の夜ふらりと外に出ていったきり帰ってこない、ということだけだったが」
「それだけじゃ捜査は行われないでしょう」
「その通り。お前はごく普通の家出人として書類上処理され、交番勤務の人間がもののついでに探したり探さなかったり……まあ、そういう扱いになっている。そので上こうして発見となったわけだが、お前本人の意志に反して保護することはないから、その点は安心していい」
「もののついで、偶然発見となったって?」
 と、勘右衛門。
 こいつの頭には、あの稚拙な絵文字暗号がある。おれにも。
 だから、これは嘘。



ない……
176cm70kgぐらいがいいんじゃないかと思うんですけど

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「父親が何か言っていたんですか」
「何かって」
「おれの前でとぼけたって意味無いでしょう。普通、捜索願を出されたからって警察が真面目に人探しをするわけじゃない。対象の普段の生活とか失踪前後の状況から判断して、犯罪に巻き込まれたとか、そういう疑いのある奴だけ。何を以ておれが異常な失踪だと判断されたんですか?」
 疑問詞を投げかけられた時、奴の眉間がぴくりと動いた。おれの発言の間中、こっちを凝視していた眼球が右側に泳いだ。
「そりゃ、不審に思うよな」
 独り言ち、視線をおれから逸らしたまま、机の上を右手の人差し指でトントンと叩いた。右利きらしい。
「コーヒーの方お待たせいたしました」
 黙り込んだテーブルに、急にウェイトレスが割り込んできた。注文を取りに来たのと別な女性だった。二つのコーヒーカップを並べながら、不思議そうにおれの顔をのぞき込んだ。目が合う。慌てて逸らされる。逃げるように席を離れる。
「そうだな」
 と、一人で納得したように、警官は頷いた。
「順を追って説明しようか。いや、まず最初に言っておくが、そっちの少年」
「尾浜勘右衛門です」
「お前の発言は不遜で不正解だ。おれは別にこいつを疑っているわけじゃない」
 これは嘘だろう、と推測した。
「別に……なんというか、その、別に久々知少年が家出したことと何かの事件を結びつけているわけではないんだ」
「もっと自然な取り繕い方はなかったんですか」
「いや、本当に。少なくともおれは。あー、いや、警察としては安易に容疑者を絞り込んだという事実はない」
 下手な嘘というのは、聞いている側をいたたまれない気分にさせるものだと判った。
 誰も事件がどうとかそんな話してない。
「面白いなあ」
 勘右衛門がおれの耳元で言った。結構なことだ。
「警察がおれを疑っても疑わなくても何を考えているのでもなんでも別に構いません。おれは父親についての話を聞きたい」
「一つだけ言わせてくれ。おれだけは本当に、お前を疑っていない」
 何についてのどのような容疑に関する話で、一体どうして初対面の赤の他人の男におれは庇われているのか、というのが致命的に抜けている会話なんだけど、前半は予想がつくのでどうでもいい。後半も赤の他人の個人的感情に基づいていることが予測されるのでどうでもいい。


別にダビデ像みたいながっちりした体型の久々知の二次創作イラストがあったっていいだろうに

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